パウダーコーティングには大別して流動浸漬法と静電スプレー法の二種類の塗装方法がある。一般的に、流動浸漬法には熱可塑性粉体塗料が使用され、静電スプレー法には熱硬化性粉体塗料が使用される。この他に、熱可塑性塗料を使用するフレームスプレー法(現場施行が可能)や、熱硬化性塗料を使用した電界クラウド法などの塗装方法があるが、あまり普及してはいない。
流動浸漬法は塗料容器の底の部分に多孔板を配置し、多孔板から圧縮空気を送る事により塗料を流動させ、流動している塗料の中に予熱した被塗物を浸漬する方法である。流動層の中の塗料は熱により被塗物に融着し厚膜の塗膜を形成する。流動浸漬法では通常200〜500ミクロンの膜厚が付くため、耐食目的の塗装に使用されるケースが多い。
流動浸漬法に使用される熱可塑性粉体塗料は主に塩化ビニル、ポリエチレン、ナイロン等の樹脂が使用されている。熱可塑性塗料は、熱を加える事により軟化し形状を変化させ、冷えると形状が安定するという特徴を持つ。熱可塑性粉体塗料は熱による化学変化を伴わないため、再び熱を加えると軟化及び形状の変化が繰り返される。(一部の工程では、後加熱を行う場合もあるが、これは平滑性を向上する為で、熱硬化性塗料の様な焼付け工程ではない。)
静電スプレー法はフランスのサメス社が1962年にコロナ荷電式の静電塗装機を開発した事により実用化された。スプレーガンで塗料に帯電させ、アースの取れた被塗物に静電気を使って塗布する方法である。塗布の後、焼付け乾燥炉で加熱することにより、塗膜を形成させる塗装方法である。流動浸漬法では膜厚の管理を行うのは困難であるが、静電スプレー法では50ミクロン程度の薄膜で塗膜を管理する事が容易である。今日のパウダーコーティングの主流は熱硬化性塗料を使用した静電スプレー法である。
静電スプレー法で使用される熱硬化性塗料は、熱を加える事により化学変化(架橋)を起し、特性が変化する塗料である。架橋反応により各種の性能を付加させる事が可能な為、用途に応じた塗料を選択する事ができる。使用されるベース樹脂は、外装用としてポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又、内装用としてエポキシ樹脂、ハイブリッド(エポキシ/ポリエステル)樹脂が一般的である。